私が仕事をする上で、これが社会的課題の解決に繋がるかというのは非常に重要な観点になります。自分の仕事の価値が報酬的な意味だけでなく、社会的な文脈でどれだけの価値を持つのかは、有限な人生の一部を割いてまでやるべきかを判断する際にやはり考慮すべき点ではないでしょうか。
かつて株式投資をする際、この投資が社会的な課題解決にどの程度寄与するものなのかを投資基準の一つとして考えていた時期があります。
しかしながら銘柄惚れすると、結局はEXIT(損切り)時期を逃してしまい、悲惨なことになります。今回はその話となります。
近年、食品業界で「代替肉(フェイクミート)」が話題を集めています。
代替肉は大豆や植物を原料とした食品で、動物の肉を使用することなく肉の見た目や味を再現できます。
その代替肉商品をメインに扱っているのが、米国の食品テクノロジー企業である「ビヨンドミート(Beyond Meat)」です。
動物の肉を使用しないことで環境問題への対処が可能と言われており、その先端テクノロジーにはビル・ゲイツやビズ・ストーンといった著名投資家も注目しています。
会社概要は以下の通りです。
ビヨンド・ミート(Beyond Meat Inc)は、植物由来の肉を提供する食品会社である。
【事業内容】
製品には、ビヨンドバーガー、ビヨンドソーセージ、ビヨンドビーフ、ビヨンドミートボール、ビヨンドブレックファーストソーセージパティ、ビヨンドブレックファーストソーセージリンク、ビヨンドビーフクランブル、ビヨンドイタリアンソーセージクランブルがある。
牛肉、豚肉、鶏肉の3つの主要な肉プラットフォームで多様な植物ベースの製品を販売する。製品は、食料品店、マーチャンダイザー、クラブ、コンビニエンスストア、自然小売店のチャネル全体の約122000の小売店とフードサービス店、およびレストラン、フードサービス店、学校などのその他の外食店で購入できる。また、eコマースサイトを通じて製品を提供する。
私がかつて米国個別株投資を行っていた時期にビヨンドミートに投資していた時期(2019年)がありました(過去形)。
しかしながら、代替え肉の業界は競争が激しく、私の投資トレードの不味さもあり、トータルでは大損(▲607,181円)を出して撤退しました。将来の成長性を見込んだ投資で成功した事は私個人としてはありません💦
ビヨンドミートの株価は、第3四半期の収益見通しが悪化したことを受けて、10月22日の市場で13%近く急落し、約1年ぶりの安値をつけました。
同社よりは成長の鈍化と他ブランドとの競争の激化を投資家に警告してきているなど、非常に厳しい状況です。
成長が鈍化した原因は新型コロナウイルスのデルタ株や悪天候の影響に加え、労働力不足による流通の遅れにあるビヨンドミートは説明しています。
2021年度第3四半期(7~9月)のビヨンドミートの業績は以下の通りです。
総売上高 | 1億600万ドル |
粗利益率 | 21.6% |
研究開発費 | 1,490万ドル |
調整後EBITDA | ▲3,680万ドル |
第4四半期見通し | 8,500万~1億1,000万ドル |
売上詳細は以下の通りです。
Net revenues by channel (unaudited):

上記の通り、第3四半期の総売上高は、1億600万ドルとなりました。
もともと予想されていた業績とほとんど差がなく、総売上高に対する期待値はプラスマイナスゼロとなります。
ただし、当初29.3%を予想していた粗利益率は21.6%に下方修正されました。研究開発費もあり、赤字拡大しています。

さらに、調整後EBITDAも予想のマイナス2,570万ドルとなる3,680万ドルの赤字となり、投資家の失望を買った結果、11月11日の株価は16%の大幅安となっています。

これまでも株価は上下に大きく変動しており、主な要因は以下の通りです。やはり個別株は難しいですね。ちなみに私が投資していたのは2019年頃です。
- 【2019年5~10月】上場初日に急騰したもののバブル崩壊で急落
- 【2020年3~8月】コロナショックの影響を受けるも業績は好調
- 【2021年1月】ペプシコとの提携で株価急伸
- 【2021年6~10月】コロナによる競争力低下の影響がじわじわと現れる
代替肉市場の規模拡大は今後も続く見通しです。

矢野経済研究所の代替肉市場規模の調査によると、今後は2030年にかけて市場が急速に拡大していくことが予測されています。
ビヨンドミートのように、代替肉のベースとなるのは大豆です。
たとえば牛乳の市場を参考にすると、大豆ベースで作られている牛乳は全体の13%を占めます。
単純に計算すれば、米国の食肉市場2,700億ドルに13%分の大豆肉が加わったとすると、米国の代替肉市場の潜在的価値は約350億ドル(約3兆9,800億円)にも達します。
こうした市場規模拡大を考えると、通期で約4億ドル(約450億円)を売り上げるビヨンドミートは、まだまだ業績を拡大できる余力があると考えられています。
私個人として、ビヨンドミートの取り組みの素晴らしさに一点の嫌疑もありません。
ビヨンドミートがミッションとして掲げる4つの課題解決(①健康的な食事の提供、②気候変動への取り組み、③自然資源の保全、④動物の生命保護)は大変意味あるものです。

ただ、これら取り組みが株式価値にいつどの程度反映されるかは誰にもわかりません。また、数年のキャピタルゲインだけを考えるのであれば、ビヨンドミートに投資するよりも、別の銘柄に投資した方が良いかもしれません(機会損失回避、代替投資先の選択)。これが個別銘柄投資の難しさであり不確実性です。みなさんも個別株への投資は慎重に❗️
当ブログでは個別の銘柄について言及することがありますが、投資を推奨しているものではありません。投資は自己判断でお願いします。
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